物事を知り、考え、判断する能力。
特に心理学で、人間の精神の三作用のうち、感情・意志に対して、いっさいの知的作用を営む能力をいう。
感覚・知覚から受け取った材料に働きかけて、抽象的・概念的・総合的認識を作りあげる精神的能力。
理性、悟性もこの中に含められる。
比較・抽象・概念化・判断・推理などの機能によって、感覚的所与を認識にまでつくりあげる精神的能力。
広義では感覚的な知覚作用をも含めた人間の認識能力をさすが、狭義では知情意のうちの知の能力が知性で、感情や意志と違って、事柄を概念によって思考したり認識したりする悟性的な能力をさす。
また中世や17、8世紀の西洋哲学では、すべてを一瞬のうちに直覚的に洞察する神の無限的な知性に、概念を用いて比量的にしか事柄を認識できない人間の有限的な知性が対置された。
「真理は知性と物との一致である」という中世以来の伝統的な真理規定も、初めは神の知性によって計画され、創造された自然の秩序に、人間の有限的知性が合致することを意味していたが、近世以来人間の知性の側に重心が置かれるようになり、事物は人間知性に合致する限りにおいて真とみなされることになる。
なおプラグマティズムのように、人間の知性も動物に備わる知能の延長で、与えられた環境に適応する能力にほかならないという見方もある。